私たちは辛い経験、裏切り、酷い扱い、暴力や暴言、心が傷つく体験をした時に、その相手やその出来事に関することがゆるせなくなってしまうことがあります。
すっかり忘れてしまった過去のことでも、ゆるせない!と思っていることがいくつもあり、それが今のあなたの人生に大きな影響を与えてしまっています。
『ゆるす』と聞くと、その相手を過ちやその問題から解放し、らくにしてあげることだと思いがちです。
しかし、実際には違います。
『ゆるし』によって解放されるのは、自分であって、相手ではありません。
『ゆるす』ことによって解放されるものを理解するようになると、過去に体験した辛い出来事をゆるしていこうと思えるようになります。
例えば、父親に「お前は、なんにもできないやつだな!こんなこともできないのか!」と何度も何度も怒られたとします。
お茶をこぼしただけで、テストの点数が悪かったことで、兄弟を泣かしてしまったことで、買い物を間違えたことで。
小さなことで自分を怒り、侮辱する、脅す、権力を振りかざす父親のことがだんだんと嫌いになり、憎み、こんな父親がゆるせなくなっていきます。
この時、あなたは父親のこと、父親の態度や暴言をゆるせない!って思うのですが、実は、これに関連するあらゆることをゆるせなくなってしまっています。
できなかったことで自分を責めるようになり、小さなことができなかった自分が許せなくなり、ミスをする自分が許せない、テストができなかった自分が許せない!できていれば怒られなかったのに!と。
そして、同時にいくつもの傷を負い、ネガティブな信念体系を作ってしまい、これらは、ゆるせなことと一緒に絡み合っています。
父親と一緒にゆるせなくなってしまった隠された部分、これがあなたを陰で長年苦しめることになってしまいます。
では、ここに隠されたゆるせないこと、つまり自分で自分をゆるせないことで苦しめてしまっていること、この時に受けている隠された傷はどんなものがあるかを見てみましょう。
- 私はなんにもできないダメな子
- 私は頼まれたことができない
- ミスばっかりする私が許せない
- なにもできない私が許せない
- 小さなミスも許されない
- 間違えるのはできない人がすることだ
- 間違えるのはダメなヤツだ
- なにをやっても怒られる
- 怒られるのは私だけだ
- 怒られてばっかりの自分が嫌い、許せない
- できないんだったらやる意味なし、やる価値なし
- テストができない私が悪い
- テストができない私にたいした価値はない
- 満点じゃなきゃ意味がない、満点にだけ価値がある
- 満点を取れない私はダメだ
- テストで間違えた自分が許せない
- 頑張っても認められない、頑張っても怒られる
- 泣くことは弱い人がするもの、泣いたら負けだ
- 泣いたらもっと怒られる
- 私が怒られれば○○を守れる、自分が傷付けば守れる
- 人の世話ができないダメな子だ
- 人は怖いもの、憎いものだ
- 年上の人に逆らえない
- 父親又は男性は私を傷つける、すぐ怒鳴る、私を壊す
- 父親又は男性は憎しみの相手だ
- こんな父親が恥だ、コンプレックスだ
- 父親のようにすぐに怒る自分が許せない
- 父親から愛されていない、父親に認められていない
- 父親にとって私なんて必要ない、大切にされない存在
人によって受ける傷や作り上げる信念体系が違いますが、このようなことがゆるせない人や出来事の奥深くに隠されています。
「なにをやっても怒られる」という信念体系が隠されていると、仕事をしても怒られ、家事をしても怒られ、ママ友の集まりで怒られ、習い事で怒られ、子供にまで怒られる、怒られる出来事を繰り返します。
このような絡み合っている自分を解放してあげるために、癒してあげるために、その人やその出来事をゆるしていく。
自分のためにゆるしていく。
それでいいんです。
他人を責めている時、自分を責めています。
他人に怒っている時、自分に怒っています。
他人を拒絶している時、自分を拒絶しています。
同じように、
他人をゆるせない時、自分をゆるせません。
あなたの嫌いな人のために、あの苦しい体験のために、これ以上あなたを苦しめる必要はありません。
自分を自分で嫌う、自分で自分を傷つける必要はありません。
「ゆるせない」というのは、その相手や出来事に執着することです。
忘れたい、思い出したくもない!と言いつつ、その相手や出来事を根に持っています。
そこにはいろんな思いや感情があります。
それらひとつひとつを優しく抱きしめてあげ、古傷が癒えてくると、あなたはゆるしてもいいと思えるようになってきます。
そのために、『ゆるしていこうかな』と思うことです。
RIRI